公益財団法人大原芸術財団は、倉敷美観地区にある大原家旧別邸・有隣荘で、約30年ぶりの大規改修工事を行っています。老朽化した雨どいや壁、畳などの部材を交換。美観地区を象徴する伝統建築の姿を往時のまま引き継ぎます。作業は8月末まで続く見込みです。有隣荘は1928年、実業家の大原孫三郎が家族の静養のため建てた和洋折衷の邸宅です。普段は公開されていませんが、黄緑色の屋根瓦から「緑御殿」の愛称で親しまれています・改修の主な目的は、経年変化で穴が開き雨漏りが深刻な雨どいの交換。銅製の年代物で、現在は作っている業者がいないため、工事を請け負う藤木工務店倉敷支店を通じて特注で代替品を仕立て、邸宅全体のとい(総延長100メートル余り)を取り替えます。改修では、1階の和室など20畳余りの畳を更新。雨漏りしている玄関は屋根を補修するほか、しっくいの内壁も塗り直しします。有隣荘は、畳の交換など随時メンテナンスをしてきましたが、各所の傷みが進んだのを受け、抜本的な対応が必要と判断。雨どいの交換のため、5月下旬から足場を組んで作業を進めています。大規模工事は瓦の葺き替えなど行った以来で、財団は、「美観地区の街並みを引き立てる施設に一つ。外観が変化しないよう、細心の注意をはらって工事を進め、伝統的な景観を守りたい」としています。